近代日本精神医療史研究会

Society for Research on the History of Psychiatry in Modern Japan
トーマス・ミュラー氏来る
2009年10月31日・11月1日に慶應義塾大学(日吉キャンパス)で開催された第13回精神医学史学会での特別講演を主たる目的として、ドイツからトーマス・ミュラー氏(Dr. Thomas Mueller:Universitaet Ulm, ウルム大学)が来日した。
 
私(橋本)は旧知の仲であり、彼の来日から帰国までのほぼ全日程、一緒にあちこちを移動することになったので、この場を借りてその報告などをしたい。

10月27日に来日したミュラー氏は、翌28日に東京から名古屋へ。

10月29日は私の勤務先である愛知県立大学へ。
ちょうどゼミがある日だったので、彼がこれまで研究してきた、ヨーロッパの精神科家庭看護の歴史の話をしてもらう。
さすがに、ドイツ語では学生(社会福祉学専攻)には苦しかろうと、英語で話してもらい、かつ、私が時々日本語の要約を入れた。
が、学生にはどれくらい伝わったか、ちょっと心もとない。
 
(愛知県立大学の橋本の研究室で。左端がミュラー氏、あとは学生、院生。)



10月30日には、京都に行った。
宿屋(のちの保養所)での精神病者預かりで知られていた、岩倉を訪問するためである。

岩倉の案内を中村治氏(大阪府立大学)にお願いしていた。
まず中村氏以外にふさわしい人物はいない、と断言できる。
もと大雲寺があった周辺の「遺跡」だけではなく、岩倉の古い民家の内部まで入り、往時の人々の生活ぶりを垣間見ることができるのは、岩倉のnative・中村氏のおかげである。

(京都市左京区の岩倉。写真は旧・今井保養所の入口。)



岩倉を訪れた日の夕方、JR京都駅から「のぞみ」で新横浜へ、さらに学会会場である慶応義塾大学日吉キャンパスに向かう。
夜、ミュラー氏をまじえて、精神医学史学会の関係者数人と日吉の街へ。
愛知県立大学の周辺とまったく違い、人の多さと活気には驚いた(まさに「田舎者」の気分)。
気候もよかったので、店の外に椅子を並べてビールを飲むことになった。

(日吉にて。左から、鈴木晃仁氏、中村治氏、T・ミュラー氏、昼田源四郎氏)



10月31日、精神医学史学会1日目。
ミュラー氏の特別講演があった。
タイトルは“A few good cases to study the history of open psychiatric care. And why we are in need of it.”
わたしにはとても親しみやすいテーマであった。

(慶応大学で講演中のミュラー氏)



ミュラー氏の講演は午前中に終わる。
午後は彼と中村氏、そして私の3人で東大(本郷キャンパス)へ。
医学史研究者のミュラー氏にとって、それなりの「史跡」もある東大もおもしろかろうと。
東急の日吉駅から地下鉄丸の内線の本郷三丁目駅まで。
赤門から入って、医学部本館の前で左に折れ、時計台の横から三四郎池を抜けて、ベルツとスクリバの銅像がある場所へ。
明治時代のドイツ医学と日本の近代化との関係の深さを象徴するモニュメントである。

(東大で。医学部付属病院まえの中村氏とミュラー氏。)



東大を出て、湯島から地下鉄千代田線に乗る。
せっかくだからと、二重橋前駅で降りて、皇居に寄った(といっても、もちろん遠巻きに見るだけだが)。
実は、二重橋を間近に見るのは、これがほとんど初めてであった。

夜の懇親会もあるので、早々に引き上げて、日吉へ向かう。
その後の話もあるのだが、ここで止めておくことにしよう。
| おしらせ | 10:12 | comments(0) | - | pookmark |
SELECTED ENTRIES
CATEGORIES
ARCHIVES
RECENT COMMENT
LINKS
PROFILE