近代日本精神医療史研究会

Society for Research on the History of Psychiatry in Modern Japan
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またもや台湾

12月のはじめ、また台湾に行った。

また、というのは、ブログに記事を書いたように、この9月にも訪問したので。

そういえば、9月の台湾行きの際に、台北市内のある新聞社の会議室で、大学(名誉)教授クラスの専門家たちから台湾の精神医療史をうかがう機会があった。

最近になって知ったのだが、その新聞社の記者がこのときの様子を記事している。

参考までにその記事へのリンクは「發生在20世紀的監禁與棄置 被戒嚴掩蓋的台灣精神醫學史」。

 

さて、今回は、台北の中央研究院(歴史語言研究所)で行われた"「殖民醫學再榷:本質與定義的思考」學術研討會"に招待された。

タイトルが示すように colonial/post-colonial medicine がテーマのとても小さな集まりだったが、中華料理店にあるような、文字通りの円卓を囲んで議論する、濃密な一日だった。

 

(台湾総督府立精神病院・養神院の全景写真 出典: 『台湾総督府立精神病院養神院概況』1938年)

 

ここ数年、いわゆる日本本土の精神医療史から少しはみ出して、沖縄や旧外地の精神医療史を調べているのだが、その流れで声がかかったということか。

わたしは、台湾総督府立精神病院・養神院に絡めた演題(Yōshin’in (Yang-Shen-Yuan) and Psychiatry during the Japanese Rule in Taiwan)を発表した。

養神院自体はわりと陳腐なテーマだが、日本人が台湾でその話題を語ることに一定の意義があると考えた。

また、自分なりに今一度この病院の歴史を、日本やドイツの精神病院史と比較しながら整理したいという気持ちがあった。

 

上の写真は養神院の全景である。

この精神病院については、ブログでも少し前に紹介したが、いまはその敷地にマンションが建ち、周りは繁華街。

しかし、かつては田畑に囲まれた鄙びた土地だったようだ。

 

実質的に2日間の台北滞在のうちの1日は上記の会合、もう1日は国立台湾大学の図書館(下の写真)で資料探しをすることにした。

その日が月曜日で、めぼしい図書館のなかで、ここくらいしか開館していなかった。

が、手続をすれば部外者でも簡単に入館できるのが嬉しい。

 

(国立台湾大学の「総図書館(main library)」のエントランス)

 

ところで、図書館5階の特別閲覧室で「謎の老人」に出会った。

「高齢者」では雰囲気が伝わらないので、あえて「老人」と呼ばせてもらう。

優に80歳は越えているだろう、かっぷくのいい老人。

ただ、足元がふらついて、少々歩くのも大変そうだ。

どっかりと、閲覧申し込みカウンターの椅子に座り込み、若い女性スタッフにあれこれきびしい(?)注文を出し、対応が長引いている。

日ごろからここに通い詰めている台北の地元の人に違いない。

 

カウンターが空いたので、日本で事前に検索してあった資料の閲覧を申し込んだ。

おもに養神院関係の冊子類である。

しばらくして、書庫から資料が運ばれてきた。

その資料に目を通していると、「カウンターの人に聞いたんだけど、あなた、日本から来てるんですってねえ」とそのご老人。

いきなり日本語になったので驚いたが、その人は日本人で、目下、台湾に滞在しているらしい。

中国語が堪能なのは、かつて貿易関係の仕事していて、中国語圏を渡り歩いたからのようだった。

だが、今日は、ギリシア語の聖書を見にきたのだという。

 

資料は全コピーしようと思った。

が、カウンターで依頼した文献複写は、明日にならないとできないという。

明日は帰国しなければならない。

で、結局、そのご老人が、後日わたしの代わりに完成したコピーを図書館で受け取り、日本のわたしの大学に送ってくれるということになった。

ありがたいと同時に、多少不安にもなったが、ここは任せるしかない。

帰り際に、「また、台北にきたら、連絡してください。その時は、ビールでも」といって、紙切れに名前と電話番号を書いて渡してくれた。

 

台北滞在中は、中央研究院のなかにある学術活動中心(下の写真)に宿泊していた。

ゲストハウスのようなものである。

中央研究院に行ったことがある人なら、「あーあそこ」と、うなずくに違いない。

日中の最高気温が30度くらいあったから、全館冷房がガンガンと。

部屋のエアコンを切っても、廊下から冷気が入ってくるのだろうか、わたしには寒すぎる。

夜はフリースの上着を着て寝た。

 

(中央研究院の学術活動中心)

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