近代日本精神医療史研究会

Society for Research on the History of Psychiatry in Modern Japan
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那覇で開催された私宅監置写真展をふりかえる

すでに旧聞に属する話かもしれない。

メディアでも、SNS上でもかなり話題になっていた、沖縄の私宅監置の写真展。

先月、4月21日、那覇の沖縄県立博物館・美術館で開かれていた同展を見に行った。

翌22日には、同会場の講堂で開かれた「シンポジウム&映像上映」にも参加した。

 

(4月22日の沖縄県立博物館・美術館。この日は雷雨になった。)

 

4月21日、名古屋から沖縄へ。

那覇空港からゆいレール。

旭橋駅近くのホテルにチェックインをして、会場まで徒歩で行く。

1時間弱。

会場は撮影禁止だったので、残念ながら当日の様子の写真はない。

ただ、入口で配られていた小さなパンフレットには、展示写真の一部が掲載されており、コンパクトな解説がつけられている。

それによると、「これらの写真の多くは、1964年に東京から派遣医として沖縄に来ていた岡庭武氏が撮影したもの」である。

当時の写真と並べて、現在の様子を撮影した写真もいくつかあったが、わずかに残骸が確認できる程度である。

 

しかし、現存する監置小屋もある(これについては、このブログでも紹介した)。

展示室の中央に、この監置小屋のレプリカ(原寸の80%大)が設置してあり、見学者は中に入ることができる。

なかなかおもしろいアイディアである。

沖縄県立芸術大学の学生が製作したものだという。

素材はベニヤ板だが、表面がグレーに塗られ、ブロックづくりの監置小屋の雰囲気がよくでている。

 

レプリカの周りには、何枚かの写真と説明書きが貼られていた。

この監置小屋に1952年から1966年まで監置されていた、Tさんに関わるものである。

Tさんが財布のなかに大事にしまっていたという発病前の10代のセルフ・ポートレートや、かつて自分が入っていた監置小屋をバックに写されたもの、晩年にサンタクロースの衣装をまとって撮影された写真もあった。

そのTさんは昨年夏に89歳で亡くなった。

 

会場でうろうろしていたら、沖縄の知り合いの人に誘われて、夕方から飲みに行くことになった。

 

(地元の人に連れられて、ゆいレールの安里駅にほど近い栄町の飲み屋街へ。まさにディープな那覇。)

 

4月22日。

午後から「シンポジウム&映像上映」。

映像上映とは、1972年5月15日の沖縄復帰にあわせて放映されたという TBS の番組の一部である。

日本各地で私宅監置の資料や遺構をあれこれ探してきたが、患者やその家族の様子をカラー映像で見たのはもちろん初めてだ。

衝撃的だった。

また、今回の企画のために、元・公衆衛生看護婦(現在の保健師にあたる)の方が、記憶をたどってかつて私宅監置室があった場所を尋ねる、という興味深い映像もあった。

 

シンポジウムでは、さまざまな背景をもつ登壇者たちが、私宅監置あるいは私宅監置から想起される精神医療の過去と現在について語った。

帰りの飛行機の時間の関係で、最後まで聞けなかったのが心残りである。

ただ、数日後に、この企画を詳細に報じてきた地元紙・沖縄タイムスの記事(連載「『座敷牢』の闇で 私宅監置を考える」など)を同社の記者の方から送ってもらった。

その記事で「私宅監置シンポ詳細」を確認するとともに、私宅監置をめぐる沖縄の受けとめられ方の一旦を知ることができた、と思う。

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