近代日本精神医療史研究会

Society for Research on the History of Psychiatry in Modern Japan
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沖縄私宅監置紀行

このブログでもしばしば宣伝している「私宅監置と日本の精神医療史」展で使っている一枚の写真がある。

2013年に沖縄本島北部で撮影されたという私宅監置室の写真である。

もともと沖縄県精神保健福祉協会の55周年記念誌に掲載されたもので、文献を渉猟しているうちにたまたま見つけた。

そのときの衝撃は忘れられない。

もちろん今は使われていない私宅監置室だが、その構造自体が残っているとしたら、そのこと自体が21世紀の日本の奇跡だと思った。

冗談抜きに、ル・コルビュジエの建築物どころではない。

 

この2年間あまり「私宅監置と日本の精神医療史」展を各地で開催しながら、「この沖縄の監置室の写真は、データを送ってもらったもので、自分では見たことはないです。ほんとに見ることができたらすごいけど」などと来場者に言い続けてきた。

とは言っても、「ほんとに」見るのは無理だろうなあ、あり得ないだろうなあ、と内心では思っていた。

 

ところがあるとき、「センセイ、沖縄で私宅監置室、見られるかもしれませんよ」と知り合いの人から連絡があった。

ええっ!?

ホントか、ウソか、わからないけれど、とにかくセントレアから那覇までの航空券をすぐに予約した。

その知り合いの人の沖縄での講演会の日程に合わせていくのだが、それは夏休み期間だから、予約にもたついていると券は取れなくなるだろうと考えた。

 

ただ、その連絡があってから、2、3ヶ月間は音信が途絶えた。

詳細がわからず、じわじわと不安は募る。

あれは、本当だったのか・・・

そして、集合時間と見学場所が判明したのは、沖縄行きの前日(!)だった。

 

那覇空港の到着出口に、迎えの人たちが待っていた。

空港からマイクロバスで北へ、目的地に向かう。

ある公民館の駐車場に車を止めて、強い日差しの中を歩く。

パパイヤやバショウを横に見ながら、一本道を10分くらい進み、道が二手に分かれている地点で山側に向かうと、茂みのなかに、私宅監置室はあった。

これは、まさに「私宅監置と日本の精神医療史」展で紹介してきた、あの監置室ではないか!

 

(監置室は植物に覆われつつあった。)

 

(監置室内の窓から外を見る。)

 

(小川をはさんで、道沿いから撮影。そこからは、監置室はあまりよく見えない。)

 

監置室は朽ち果てつつあった。

ただ、シンプルな構造と、周辺の緑の雰囲気から、以前訪れたことがある南フランスのカップ・マルタンにあるル・コルビュジエの別荘を思い出した。

不謹慎かもしれないが。

 

この監置室からあまり離れていないところで、もうひとつの元・監置室を見ることができた。

最初の監置室とよく似た構造をしている。

 

(もうひとつの私宅監置室)

 

私宅監置室を見た後に、何人かで役場に行った。

目的は「精神保健医療福祉の歴史遺構の保存に関する要望書」を、首長あてに提出するためである。

「歴史遺構」として私宅監置室を考えている。

この要望を行政が真摯に受け止めてくれればと思う。

 

次の日、沖縄県公文書館に行った。

今回の「私宅監置調査」が空振りになった場合を想定して、資料調査の準備もしてきたのである。

監置室見学ができたので目的は果たしたわけだが、せっかくなので公文書館も訪れた。

ただし、帰りの飛行機の関係で、あまりゆっくりできず、中途半端な調査になってしまった。

再訪したいと思う。

 

(沖縄県公文書館近くの那覇バス・新川営業所内の「沖縄そば」の店)

 

(「沖縄そば」の店のカウンターで。この「雨 御万人ぬ 上にん 降ゆん」(誰の上にも同じように降る、雨と同じように物事も公平であるべき・・・)というカレンダーではないが、この日の午後、スコールのような大雨に降られた。)

| プチ調査 | 17:59 | comments(1) | - | pookmark |
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| - | 17:59 | - | - | pookmark |
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| - | 2019/02/12 1:43 PM |
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