近代日本精神医療史研究会

Society for Research on the History of Psychiatry in Modern Japan
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小林靖彦資料紹介(50) 「精神病者治療所」(新潟)

今回をもって、小林の資料「精神病者治療所」の紹介は完結する。

新潟の記述部分には写真が添付されていたはずだが、原稿用紙から無残にも剥がされている。
しばらくの間、小林の別の資料の中から、その写真を探索していた。
なので、このBlogに新潟の記事を書けないでいた。

しかし、小林が大量に残したポジ・フィルムの中に、剥がされたのと同じものと推察される写真をついに発見した。
そこで、フィルム・スキャナーで取り込んだのである。
ともかく、以下が新潟の記述である。


5.新潟

1)鵜ノ森狂疾院(新潟県加茂市鵜ノ森)

 昔、下越に属し、後、南蒲原郡須田村鵜ノ森と称せる地は、町村合併により加茂市に編入され、新潟港に注ぐ信濃川の上流にあり、堤の下の田圃の中に竹藪を中心に点在する部落であります。

 永井家は、永井家系図によれば、桓武天皇に始まり、平家となり、次いで北條家となりしものより分れ、永井の姓を名のり、越後中蒲原郡に在りて、農業に従事す。慈徳院寂照宗祐居士(元禄4年8月28日歿、1691)に至り、浄土真宗大谷派に属する永井山順行寺を開き、次の誠心院密巌茲玄居士(延享5年5月21日歿、1748)の時より、分家独立して永井慈現と号し、代々医業をなす。


[小林のポジ・フィルムから探した「永井山順行寺」の写真。フィルムが変色している。]

 実際に精神病者を収容せる鵜ノ森狂疾院の創立は、安永年間(1772〜1781)と云う。

 狂疾院の治療は、漢方薬にして、一時50〜60名を収容し、一般に「ばか病院」と通称されたと云う。

 明治27年(1894)、6代永井慈現は、組織をあらためて永井精神病院を設立す。敷地三百坪、建坪五十六坪、収容定員20名の小規模なものでありました。

 大正12年(1923)後継者なきため廃止。


[永井医院。小林のポジ・フィルムより。]

 現在(昭和38年11月5日、1963)、本家なる永井山順行寺は「順行寺さん」と呼ばれて、村の信仰の中心であり、境内に永井家の墓があります。


[旧病舎。小林のポジ・フィルムには、「民家になっている旧病舎」という説明がついている。]



[旧病舎。小林のポジ・フィルムには、「民家の土蔵となっている」との説明がついている。]

 分家の当主は、13代永井慈現(東京医専卒)は、加茂市大字加茂1038の地にて永井医院を開き、耳鼻科を専攻しており、病院は他家のものとなり、その家の主家と土蔵になっており、窓の柵に昔を偲ばせ、「主家となっている方に上等の患者さんが収容されていた」と古老語る。

 13代慈現の父、潔は東大医科4年の時、3人の子を残して死亡、祖父房之助(12代慈現)が、大正12年(1923)死亡し、ために精神病院は廃止されました。

 当主は、幼名を博と云い、文夫(京城医専在学中死亡)と滋(慈恵医専卒、東京にて開業)の弟あり、13代慈現を継ぎ、最近、脳出血を起こし半身不随となり、医院も寂れ、北大を卒業し、慶大の大学院(外科)に在学中の長男の成長を期待しています。


2)新潟脳病院
(西蒲原郡坂井輪村大字平島162)

 明治44年(1911)7月1日、医学士長谷川寛治が創立し、大成潔(元東大助手)病院長として赴任す。収容定員は60名であった。

 大正2年(1913)、新潟脳病院は、慈恵的救療の事実あるを以て、県より特に金一千円の補助金交付せらる。而して公費委託患者は普通入院患者の半額を以て収容することとし、又、同病院長は県下精神病者の視察を嘱託せられ、年々三百円以内の出張旅費を支給せらるるとある。

 大正3年(1914)8月、大成潔院長辞職し、東大助手栗原清一之に代る。

 大正7年(1918)2月、栗原清一院長辞職し、医学士谷口本事之に代る。

 大正8年(1919)5月、元福岡脳病院長医学士伊藤勘助、谷口本事に代りて院長に就職す。

 大正10年(1921)1月4日、伊藤院長辞職し、金森五郎院長となる。
 
 昭和28年(1953)、新潟精神病院と改称されて、今日に至る。
(新潟市上新栄町5827、450床)


3)新潟大学医学部精神医学教室

 大正3年(1914)官立新潟医学専門学校に精神病学講座が設置され、中村隆治教授赴任す。仝年、市立新潟病院を改修して病室を設く。

 大正11年(1922)大学に昇格し、大正13年(1924)教室および病室が学内に新築されました。


(新潟の記述は以上。小林資料「精神病者治療所」の紹介は、今回で完結。) 

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