近代日本精神医療史研究会

Society for Research on the History of Psychiatry in Modern Japan
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『精神病者私宅監置ノ實況及ビ其統計的觀察』を読もう(その38)
ふたたび呉秀三・樫田五郎の論文『精神病者私宅監置ノ實況及ビ其統計的觀察』の話をしたい。
『精神病者私宅監置ノ實況及ビ其統計的觀察』を読もう(その36)にも書いたが、この論文中には「精神病ノ民間薬並ニ迷信薬」という節がある。
その最初に挙げられているのが「猿頭(サルガシラ)」である。
その説明によれば(原文は漢字・カタカナ文);

「猿頭は猿の頭蓋骨を黒焼にしたるものにして、頭蓋骨の原型を有するものは一個三、四円を価す、多くは粉末にせしものを一匁幾銭を以て販売す。」

どうも、あまり気持ちのいいものではないが、猿頭がどんなものか興味深々。

そのうち、偶然にも『黒焼の研究』(小泉栄次郎著、大正10年)という本があることを知った。
とある古本屋のカタログに載ったのである。
ただちに注文したが、「売れてしまいました」という。
これに興味を持つ人がいることに驚いた。
だが、webcatで検索し、復刻版をある大学から借りることができた。
この本の冒頭に、いきなり「猿頭(サルノアタマ)」の黒焼きの写真が載っていた。
それによると、猿頭は頭痛に効くそうで、「一匁を白湯にて服用す」という。


(『黒焼の研究』復刻版に掲載されている「猿頭」)

一方、『農業世界』という雑誌(第33巻・第13号、昭和13年)に、「黒焼の薬効と其の製造法」という記事があることを発見した。
著者は「東京神田末広町黒焼商」の菅俣吉之助という人で、「この方法によれば素人にも出来ます」とある。
ここにも「猿頭(さるのあたま)」があり、「血の道、脳病」に効くようである。
また、「猿の頭の黒焼 右にあるのは焼かぬ前」という、猿の生首と黒焼きにされた猿の写真が並べて掲載されている。


(『農業世界』に掲載されている「猿頭」)

まあ、普通なら「これくらいで十分」となるのだが、予期せぬ時に予期せぬ場所で「猿頭」問題が再燃した。
それというのも、2010年10月に宇都宮で行われた精神医学史学会に参加した折、市内で猿頭を売っている(?それとも、展示のみ?)店に出くわしたからである。

学会のスケジュールの関係で、店が開いている時間に店に行けず、店が開いていた時にはもう新幹線が出る時間で、あわてて撮った写真が1枚あるだけだが、ご覧いただこう。
おそらく、栃木県庁周辺にお勤めの方は、毎日ご覧になっていることだろうが・・・



店頭に「猿頭」の文字がある。だが、「ショーケース」が閉まっていて、猿は見られない。



新幹線の時間を気にしながら、撮った一枚。
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